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単純接触効果だけじゃない?「ぐでたま」の人気の秘密

公開日: : 最終更新日:2015/12/14 マーケティング , , ,

「ぐでたま」って知ってますか?

私も朝はTBS系の朝の情報番組の「あさチャン」を見ていたので存在は知っていたのですが、先日Apple storeを眺めていた所見つけたのでダウンロードして見ました。

さわって!ぐでたまアイコン

© ’13,’15 SANRIO サンリオ

ダウンロードはこちらから:さわって!ぐでたま公式サイト

何とも言えない絶妙なキャクターに右手が腱鞘炎になるくらいポチポチ遊んじゃってますw

そもそも「ぐでたま」とは、

「ぐでぐでとしたやる気のない卵」のキャラクターとして2013年にデビューを果たし、同年の投票企画「食べキャラ総選挙〜食うか食われるか真剣勝負!〜」で2位を獲得した。

Wikipediaより

また、

ぐでぐでとしたやる気のない卵。卵焼きなどに調理されたり、ウィンナーの皮に使用されてもだらしのない性格が変わることはない。但し、プリっとしたお尻、いわゆる「プリケツ」はぐでたまの最大のチャームポイントとしてファンの間でも評判が高い。

Wikipediaより

 

いわゆる「ゆるキャラ」の一人で、TWITTERでのフォロワー数は58万人もおり、(2015年12月時点)。あのフナッシーに負けじとも劣らない人気のキャクターなのです。私自身、「あさチャン」内のショートムービーコーナーで初めて見ましたが、今ではそのやる気のなさと愛らしいルックスに今ではすっかりファンになってしまいました。

寝そべるぐでたま

今回は、このアプリのレビューではなく、「ぐでたま」の人気の秘密についてよく行動心理学で用いられる「親和性効果」を元に紐解いてみたいと思います。

 

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単純接触効果( Mere-exposure effect)とは

親和性効果は、別名ザイアンス効果と呼ばれており、1968年にアメリカの心理学者ロバート・ザイアンスにより、”Attitudinal effects of mere exposure” という論文にまとめられました。

繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果。

Wikipediaより

すなわち、好意をもってもらいたければ、接触回数を増やせという、なんだか言われてみればそんなの当たり前じゃないかという気もする理論の事なのです。この理論は、広告の手法、恋愛の手法、はては営業にまであらゆる分野で有効性を認められています。

ですが、少し気になりませんか?本当に接触回数が多いほど好意を持つようになるのでしょうか?

単純に回数が多ければ好きになるのか?

ザイオンスは様々な実験により、この理論の有効性を確かめようとしました。文字を見せたり、漢字を見せたり、果ては人の顔の写真に至るまで。その結果、多く目に触れれば触れるほど、人はそれに対して好意を抱くという事がわかったのです。

ザイオンスの葛藤

しかし、ザイオンスは実験を通して様々な葛藤を抱きます。本当に、単純に接触するだけで好意を抱くのか? 文字なら読みやすいからだったのでは? などなど、実験の結果が果たして本当に「単純」な接触の結果によるものだったのかを考えます。そして、論文の最後に今後も検討の余地あり、と将来に渡って検証すべきと唱えました。

単純接触効果に関する考察

とはいえ、単純接触効果って本当に効果あるのでしょうか? 今回は、様々なシチュエーションから、この単純接触効果に必要な要素と、もたらす効果に関してを説明していきたいと思います。そして、最後に私が「ぐでたま」のファンになった経緯を説明していきたいと思います。

「恋愛」と単純接触効果

いわゆる単純接触効果が最も話題になるのは恋愛のテクニックの一つでしょうか。

・気になる異性には徹底的にアタックしろ!

・なるべくメールはこまめに送れ!

等の色々なアドバイスがありますが、果たして興味の無い異性から積極的にアプローチをされて好意を抱くでしょうか?

興味の無い異性ならまだしも、第一印象が悪い異性からどれだけアプローチされても、それが好意に変わる事ってあるのでしょうか?

好意に変わる事がある例もあるのでしょうが、同じくらい嫌悪される可能性もあります。

そもそも私は、単純接触効果は恋愛に発展する程の効果は無いと考えています。

せいぜい、似たような人物の中から選択する際に強いて選ぶなら、と選ばれる可能性が多くなるぐらいでしょう。

ですので、恋愛における単純接触効果を考えた時、以下の2点が仮説として立てられます。

・ 効果としては恋愛に発展する程ではないかもしれない(=好意を持つ程度である)

・ 第一印象が悪ければ単純接触効果はむしろ逆効果になる

もしも上記の条件でも恋愛に発展したとしたら、それは単純接触効果ではなく、もっと別の心理学的要因があったと思われます。

というわけで、好意ももたれていないのに接触しようとする行為はストーキングと言われるのです(笑)

では、「ぐでたま」の時はどうだったでしょうか。実は私、初めて朝にショートアニメを見た時、

強い嫌悪感を抱きました。

というのも、その時私は目玉焼きを食べていて、それが「ぐでたま」の姿と重なって、一種のグロテスクさを感じました。

いつもは食料として認識していたものの生物としての元の姿を思い浮かべさせられた

そんな気分にさせられ、「朝からこんなのやってるんじゃねぇ!」と番組を変えてしまったのです。

というわけで、単純接触効果の理論は、「ぐでたま」を好きになった理由に当てはまらないような気がします。

 

「営業」と単純接触効果

営業の世界でも、単純接触効果を用いて顧客に毎日アタックしろ! 等の手法が唱えられています。

実際に、成約率が上がったなどと言われ、今でも営業の世界では実践されている企業もあるかと思います。

私は、営業の世界において単純接触効果を持ち出すのは少々非現実的だと考えています。

というのも、

成約を取るのは単純接触効果ではなく、営業テクニックの効果によるもの

だと考えているからです。

実は私も学生の頃、牛乳の飛び込み営業のアルバイトを経験した事がありますが、特に牛乳の場合は、重要なのは回数ではなくて、営業テクニックです。

私の経験上、成約までこぎつけられるのは、以下の2パターンです。

パターン1:元々興味がある。

パターン2:興味はないが、話しているうちに興味を持ってくれる

どちらのパターンであるにせよ、その場で成約を取らなければなりません。というのも、1日400件程回って表に出てきてくれる人は10人ぐらいしかいないからです。大半がインターフォンごしに断られてしまうか、あるいは不在かのどちらかだからです。少ないチャンスでものにするには、その場でなんとか買っていただけるようにするしかありません。

そもそも、牛乳を定期購入していただけるために、何回も同じ家を訪れる事など非効率的です。これがもっと高額の商品だったら話は別でしょうが、どちらにせよ

回数訪れる事で成約率が高まる

のは当たり前のような話で、パターン1の元々興味がある人なら何回目かの訪問で何もせずとも買ってくれるでしょうし、パターン2なら更なる営業トークで成約へ導くだけの話です。これを単純接触効果による好意の上昇で……と解釈してしまうのは非常に難しいと考えています。

では「ぐでたま」の場合はどうでしょうか、そもそも私は最初に「あさチャン」で見た時以来、しばらく「あさチャン」を見ない状態にいました。そもそも接触もその後無かった上に、別に営業もかけられていない状態でした。

正直、初見の悪印象を持っただけで、それ以上の接触はありませんでした。

「職場」と単純接触効果

単純接触効果を考える上で、本当に単純に接触していれば好意をあげられるかという話を持ち出すと、コミュニティの問題が出てきます。学生ならばクラス、社会人なら職場に、と毎日のように顔を合わす人物というのは多いと思います。その全員に対して好意を抱きますか?

答えはNOです。

これは、単純接触効果によって上昇する好意は、それ以外の要因によって簡単に上書きされてしまうぐらいのものである、という事の証明になるのと同時に、「単純接触」の定義を再確認する事につながります。ザイオンスの論文や、それ以降に発表された各種論文を読む限り、

単純接触効果は潜在意識への現象である

と実証しています。となれば、言葉は交わさなくとも、毎日一緒にいれば全員に潜在意識化でそれなりの好意を抱きそうなはずです。だが、そうはいきません。それは、

ある空間に一緒にいるだけでは単純接触とならない

だからだと私は考えています。では、単純接触とは何でしょうか? それは、

「刺激」を与える

という事に他なりません。「刺激」を伴う接触によって初めて単純接触効果は出てきます。この刺激を与える、というのは

ただ見るだけではなく、相手の事を考える状態

という事です。その結果として、初めて「認知」の段階に至るのです。視界の端に捉えているぐらいでは単純接触効果における恩恵を享受する事はできないという仮説を立てる事ができます。

・ 挨拶をする

・ 世間話をする

・ 目立ってみせる

様々な方法で相手に刺激を与える事はできますが、少なくともただ存在するだけで刺激は与えられないでしょう(見た目や容姿が目を引く場合は除く)

そういった意味では、最初に「ぐでたま」を見た時に私は刺激を受けています。それはネガティブな影響だったとはいえ、私の潜在意識に潜り込むには十分な刺激だったと思います。

「広告」と単純接触効果

では、マーケティングの世界ではあたかも常識であるかのように崇め奉られている単純接触の効果の程はいかがでしょうか。

広告を考える上で重要になるのは、頻度(Frequency)だと考えています。

表示する回数が多ければ多い程効果があるんや!

そうはいきません。TVCMにしろ、ネットのバナー広告にしろ、過度な露出は逆に不快感を高めます。

大事な場面で突然挿入されるCM、繰り返し表示される企業のフレーズ

これに不快感を抱く人は多いのではないかと思います。

ですが、その不快感は多くの場合にそのCMを流す番組に向かうのであり、必ずしも広告の企業に向かうわけではありません。

という事は、広告を出す事自体に企業が視聴者を不快にする要素はないと思われます。

というわけでここで頻度が登場します。最初は印象が良くても、一番組に何度も表示されたらさすがに不快になるでしょう?

しかし、単純接触効果によれば好意度は増していくはず……う〜む、矛盾していますね。

という事は、やはり単純接触が働くには

適切な頻度が必要である

と考えられます。この辺に関しては、今後も研究がされていくでしょう。

そうなると、一度「ぐでたま」を見て以来、その後目にする事はなかった私にとって、単純接触効果は働いていなかったのではないか、という事になってきます。そろそろ「ぐでたま」を好きになったのは単純接触効果による影響ではないと言い切れそうですね……

 

アプリと単純接触効果

最後に、アプリにおける単純接触効果に関して説明していきたいと思います。これは、アプリが広告として表示される回数の話ではなく、またアプリ内で表示される広告に関する話ではありません、単純に、そのアプリがユーザーにどれぐらいの頻度で起動されるかの話です。

最近ではもはや当たり前になりすぎて逆に減ってるのではないかと言われている、「スタミナシステム」の話です。

「パズドラ」を筆頭に、様々なソシャゲで実装されているこのスタミナ制。

簡単に言うと、ゲームを遊ぶために必要となる、

時間経過とともに回復するポイント

の事であり、このポイントを実装する事で、ユーザーに一種の強迫観念を与えるシステムの事です。詳細はいずれ話すとして、このスタミナシステムにより、定期的にユーザーがアプリと接触する機会を持て、結果として単純接触効果が働くと考えられます。

これを考える際、単純接触効果のもうひとつの側面を加える事ができます。それは、

頻度が減ると好意が減る

という事です。最初はスタミナが回復仕切る直前に再度プレイしていたのに、段々とそれが気にならなくなり、段々とログインする頻度が減ってしまう場合、そのゲームへの好意が減っていると考えられます。(単純に飽きたという事なのですが)

つまり、

ある一定の頻度で接触していたものの頻度が減るにつれて、その好意も減る

のではないかと考えられます。毎日顔を合わせていた友人と、すこしづつ会う頻度が減ると、そのまま段々と合わなくなるというのは誰しも経験があると思います。このように、好意と接触頻度は切っても切れない関係にあると仮説が立てられます。

では、「ぐでたま」の場合の頻度とは、どの程度でしょうか。結局、最初の1回以来見る機会はなかったので、頻度が上昇したから好きになったという事ではなさそうです。

 

「ぐでたま」と単純接触効果

私の今までの単純接触効果における仮説をざっくりまとめると、

・ 好意の上昇量への効果は少ない

・ 第一印象が悪いとその後も悪い

・ 少ない露出においては刺激回数よりも刺激の度合い(営業でいう営業テクニック)

・ 認知まで至らなければならない

・ 適度な頻度での露出が必要

・ 頻度が減ると好意も減る

以上のようになります。これを見る限り、確かに最初の刺激は強かったですが、私が「ぐでたま」に好意を抱く理由は単純接触効果ではなさそうに見えますが……しかも、好きになった後も別に毎日気にしていたわけでもありません。

しかし、実は私の知らないところで単純接触効果は起きていたのです。そのきっかけは、「ぐでたま」が卵である事でした。

 

きっかけは「タマゴ」だった。

あの日以来、私の潜在意識では、タマゴを見たら「ぐでたま」の事を考えていました。タマゴというのは日常生活の中でかなりの頻度で現れます。

これが私の中で「再認」の働きをもたらし、刺激を与えていました。

結果として、再びテレビや広告で見ずとも、それと同じような効果が私の潜在意識に起こっていたのです。

これを、心理学の世界では「トリガー」と言います。

トリガーは、「引き金」と訳されるように、

関連するものを思い出すきっかけとなる

要因の事です。最初の印象が強かったが故に、あれ以来タマゴを見るとどうしてもあの時の生々しい経験が蘇り、

「タマゴ」が私にとっての「ぐでたま」を思い出すトリガー

となっていました。その後、職場で談笑している時に、タマゴの話題が出て、私が「ぐでたま」の話をした時がターニングポイントとなりました。

「気持ち悪いゆるキャラがいる」

そんな感じで同僚に紹介したのがきっかけとなり、調べていくうちに段々と興味を持つようになりました。

「え? こんなのが人気なの!?」

から、ファンになるまでは時間はかかりませんでした。(バンドワゴン効果)

この事から、私は知らず知らずのうちに「ぐでたま」による単純接触効果を受けていたと言えます。

では、第一印象がネガティブだったにも関わらず、何故急に好きになったかというと、これは単純接触効果による影響ではなく、

「熟知性の原則」によるものだと考えられます。

熟知性の原則も、ザイオンスによって提唱されましたが、

相手の内面を知る事で好意が増す効果です

一番わかりやすい例が、ギャップで人を好きになったりする事です。

これは、対象に関してよく知らない場合に発生し、それまでの評価を逆転する程の効果を持っています。

何となくフォルムが気持ち悪いという理由で嫌っていましたが、同僚に話す事をきっかけとして好きになった。

それが私が「ぐでたま」を好きになった理由のようです。

そうなると、ある意味

第一印象が悪かった故に効果を最大限発揮した

というなんとも皮肉な結果となったのです。また、下手にTVを見なかった事で、外的な刺激を受けずに、好意の減少は低下しなかったのではと考えています。これは単純接触効果に二つの要素が考えられる事を示しています。

・ 外的な刺激により起こる認知(広告やTVなど)

・ 内的な刺激により起こる認知(簡単に言うと思い出し)

内的な刺激により起こる認知では、好意の上昇や低下とは別に、認知の強度(刺激の強度)が高められると考えられます。それは、ポジティブであれ、ネガティブであれ、人に何らかのアクションを起こさせる要因となりえます。私の場合は、共感(同意)を得るために同僚に話した、というわけです。

まとめ

というわけで、私が「ぐでたま」を好きになった経緯を長々と話しましたが、ここから何が言えるかというと、

トリガーとなるキーワードが日常にあればあるほど、単純接触効果による影響はでかい

という事と、

第一印象のネガティブさは、将来的には逆転する可能性がある

という事です。

もちろん、あくまでも仮説ですので、検証が必要になると思います。

「ぐでたま」が流行ったのは、もちろんその見た目と言動などもあると思いますが、一番は、

トリガーとして常に人々の潜在意識に訴えかける

頻度が高いからでしょう。乱暴に言うと、

タマゴだったから

人気になったのです。もちろん、他にも社会を代弁しているとかの要素もあると思いますが、タマゴであったというのが、人気になった大部分を占めるのは間違いなさそうです。

 

このように考えた時、マーケティングなどにも、このトリガーとなる要素を取り入れる事ができそうです。

・ 刺激はネガティブでもポジティブでもいいから強めに(インパクトは大きく)

・ 人々の生活に関連するように(キーワードがトリガーとなるように)

上の原則を守れば自然と流行るコンテンツができそうな、そんな気がします。

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